舌痛症で色々な科を回ることは珍しくないと、本サイトの他の記事で何度も記載しました。
内科で異常が見つからず、耳鼻科や麻酔科(意外に思われるかもしれませんが、麻酔科医というのは痛みのプロです)での治療も効果がなく、心療内科を勧められ受診する。
このドクターショッピングは極めて一般的で、当法人の舌痛症外来を受診する患者様の多くもこれを経験しています。
舌痛症の原因には心因性、つまりストレスや気分の落ち込み、イライラや不眠が引き金となるものがあります。
精神科医というのは心因性の痛みのプロですから、様々なお薬を使って痛みを取り除こうと試みます。
そのお薬の中の一つに、本記事のメインテーマとなる抗うつ薬が含まれます。
心因性の舌痛症を分類すると、先ほど申し上げたストレスなどを原因とした、見た目に異常がない慢性的な痛みに区分されます。
専門的にいうと心因性慢性疼痛。
このような心因性の慢性的な痛みに対して抗うつ薬が有効であるというデータは国内外で報告されています。
その根拠ある治療として抗うつ薬を処方するのです。
過去記事〈舌痛症になったら心療内科・精神科と舌痛症外来どっちに行く?〉にも記載しましたが、心療内科・精神科での舌痛症治療は症状が改善することはあっても、満足がいくラインまで回復することは少ないと考えます。
なぜなら精神科医はお口の渇きに着目しないからです。
当舌痛症外来でも抗うつ薬を使用します。
薬剤はほぼ同じです。
歯科医師が精神科のお薬を出して大丈夫なのかと疑問を持つ方も多いと思いますのでまずそれにお答えします。
一つ目は法的な問題。
これは歯科医師というのは舌痛症という病気の患者様に対してであれば、それに有効な薬は特に医師と分け隔てなく出せるようになっています。
極端な例を挙げると、著者は口腔外科に所属していたのですが、口腔がんの患者様の抗がん剤や、末期口腔がん患者様の麻薬(痛み止めに使います)を医師と同様に処方していました。
ですので例えば当外来で処方した抗うつ薬を見た医師が、「何で歯医者が!」とおっしゃっていてもあまり気になさらないでください。
二つ目は倫理的な問題。
心因性の舌痛症の治療は、かなり心療内科・精神科の領域に踏み込んだものとなります。
しかし当外来の担当医はその領域を真摯に学んでいます。
また現在の担当医は口腔外科に所属した経緯があるため、一般的な歯科医師よりも投薬、お薬で病気をコントロールすることに長けています。
当外来は自信を持って倫理的な問題をクリアしていると言えます。
このように我々は自信を持って治療をする構えをとっていますが、一つ問題があります。
それは抗うつ薬という得体の知れない薬への恐怖と、その特徴です。
抗うつ薬には気分を持ち上げるのに2週間かかるものがざらにあります。
しかし困ったことに、その前に副作用が出現してしまうのです。
眠気、吐き気、だるさなど色々と不快な症状が現れます。
しかしそれを過ぎると抗うつ薬の効果が現れますので、どうか気長に待っていただきたく思います。
口腔外科領域の歯科医師が処方する抗うつ薬に驚かず、副作用にお恐れず、一緒に舌痛症治療に取り組みましょう。
当法人の舌痛症外来はこちらからご予約ください。
医療法人光惠会
舌痛症外来担当医 小林隆洋
舌の痛みやしびれなど、
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※2023年11月1日新規開院