ヒリヒリや痺れが舌に現れた時、我々は舌痛症を疑います。
そして「見た目に異常がなく続く慢性的な痛み」に該当した場合、舌痛症の治療での改善を試みます。
鉄や亜鉛、ビタミンB12の不足による舌痛症でない場合、原因は唾液の不足やストレスなどによる心因性のものと我々は考えます。そこでそれらの治療を開始します。
治療の流れとしては漢方による体質改善を基本として開始し、必要に応じて西洋薬(舌痛症にはあまり使用しませんが、コロナの時に処方されたであろうカロナール・ロキソニンのような化学的に作られたお薬のこと)で症状を緩和させていきます。
漢方は舌痛症治療において極めて有効です。
例えば唾液の不足に対して使用できるお薬のほとんどは漢方で、実際のところ沢山のデータが論文として国内外で報告されています。
しかし漢方を飲む上で、一つ心に留めておいて欲しいことがあります。
それは、効果が出るのに6ヶ月はかかるということ。
漢方が著しく効いた患者様の中にはもっと早い方もいらっしゃいますが、基本的には漢方は、例えばここでは「唾液が出る体質」にするために服用していただきます。
体質改善ですので必然的に時間がかかってしまうのです。
それはご了承いただきたいところです。
上記のように漢方では時間がかかります。
それでは西洋薬の方が効果が出るのが早いのに、なぜ漢方なのか記載させていただきます。
確かに唾液を増やす西洋薬はあります。
しかし副作用が大きいものが多いため、慎重に服用していただく必要が出てきます。
そのため我々は、体に優しい漢方から治療をスタートさせ、効果が不十分の場合にこれらの西洋薬を使用する際、少量服用していただくことで副作用ができる限り出ないように心がけています。
続いて心因性の舌痛症について記載します。
ストレス、気分の落ち込み、イライラ、そして不眠など、心や体に変化が現れることは珍しくない時代です。
これらは全て舌痛症の原因となり得ます。
これらの症状は一般的に心療内科や精神科の守備範囲かと思われるかも知れませんが、舌痛症外来こそこれらの状態をコントロールすることが重要だと思っています。
治療として、まずは症状の出ない体を作るために、それぞれの症状に適した漢方を処方します。
唾液の例と同じように体質改善を図るのです。
そして漢方による治療で残った症状に対して、少量のお薬を処方することで、舌痛症の症状を取り除きます。
漢方を服用して何も変化がなく、飲むのをやめてしまった患者様はいらっしゃいませんか?
前述の通り、漢方は効果が出るのに時間がかかるのです。
しかし少しずつ体質が変わっていき、それぞれの症状に的確に作用します。
そしてそれらが落ち着けば、舌痛症の症状も治ってくることが多いです。
歯科医師が漢方・西洋薬を処方するのは珍しいため、お薬手帳を医師に見せた際に「歯医者が何でこの薬を出してるの?」と疑問を投げかけられる可能性があります。
しかしその時は、「舌痛症治療の専門外来で、舌痛症治療のために処方してもらっています」とお答えください。
そして舌痛症外来で処方した薬をやめるように言われたら、一度当院にご相談ください。
医療法人光惠会
舌痛症外来担当医 小林隆洋
舌の痛みやしびれなど、
お気軽にご相談ください。
※2023年11月1日新規開院