舌にヒリヒリとした痛みやピリピリとした痺れがある場合、原因が分からず不安に思う方は多いと思います。
「まさか癌?」と思い始めると頭の中は悪い方へ思考を巡らすことでしょう。
舌痛症が良い方という訳ではないのですが、このような場合は舌痛症を疑っていただきたいのが舌痛症外来の担当医である筆者が思うところです。
本記事ではこれら舌痛症と癌の特徴の違いについて記載していきたいと思います。
舌痛症とは「見た目に異常がないのに起こる慢性的な痛み」がある病気です。
そのため特に舌表面に異常はなく、傷などもありません。
傷がある場合、舌痛症とは違う診断名がつきます。
傷がないということですから、口内炎のような痛みや、歯で舌を噛んでしまったときのような痛みとは種類が違います。
舌が乾いている方も多いので、ヒリヒリとした感じや、神経を刺激することによる痛みや痺れなのでピリピリとした感じを訴える方が多いです。
舌癌の多くが表面に傷や口内炎のようなものが見られます。
そして2週間以上経ってもそれが消えません。
痛みは日中通して消えることはなく、傷と歯が擦れる痛みに加えて鈍痛が現れることが多いです。
おそらくは経験したことがない痛みだと思います。
対して舌痛症は、痛みは長い期間続きますが、1日の間に症状が消失する時間があることがあります。
集中しているとき、好きなものを食べているときなどに痛みが消えたり、痛みを忘れることが多いです。
先ほど記載しましたが舌痛症には目で見て分かる症状は基本的になく、せいぜい口の渇き(口腔乾燥症:ドライマウス)を合併している程度です。
舌癌は舌表面に小さな口内炎のような傷から大きなものまで、目で見て分かるものがあります。場合によっては表面に粒々(顆粒)があることもあります。
基本的には口に傷がある場合は歯科・耳鼻科の二択になります。
しかし口腔癌に関しては耳鼻科もプロフェッショナルですが、筆者は口腔外科出身の歯科医師がいる歯科の受診をお勧めします。
上述の通り、舌癌の痛みは消失しません。しかしこのような痛みの原因が歯にあるというケースが、舌癌を恐れて診察にくる患者様のほとんどだからです。
例えば不良補綴物と呼ばれる、銀歯や詰め物、被せ物やブリッジなどが舌に引っかかっている場合などは、耳鼻科医より歯科医の方が詳細に診ることができます。
また歯が尖っているのであれば、削れるのは歯科医師だけです(医師が歯を削ると歯科医師法違反です)。
さらに歯並びに問題がある場合、矯正治療で改善する可能性もあります。
しかし一つ問題があります。
先ほど口腔外科出身の歯科医師と記載しましたが、最近ではインプラントの普及に伴い、どの歯科医師が口腔外科のドクターなのか見分けることは困難です。
そのため癌の可能性を否定でき、さらに他の原因を除去できる当院への受診をお勧めします。
たくさんの原因を取り除いて尚、症状が残るようであれば舌痛症の可能性が色濃いです。
その時舌痛症の治療までできる当院の舌痛症外来は、数少ない窓口だと自負しています。
医療法人光惠会
舌痛症外来担当医 小林隆洋
舌の痛みやしびれなど、
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※2023年11月1日新規開院