高血圧の患者様は様々な合併症に苦しんでいらっしゃいます。その合併症の一つに口腔内灼熱症候群、バーニングマウスシンドロームがあります。
本記事は舌痛症のお話ではないのかな?と思われる方も多いかと思いますので、まずは舌痛症と口腔内灼熱症候群について記載させていただきます。
舌痛症には様々なタイプがありますが、口腔内灼熱症候群という口の中全体に痛みや痺れが出現する疾患の一つの型として、それが舌に限られてとどまったものを舌痛症とするという考え方も一般的です。
見た目には症状がなく、持続的あるいは途切れ途切れに痛みや痺れが出るというのが特徴です。
もっとも口腔内灼熱症候群は唾液の分泌量が低下しているケースが多いので舌が乾いているといったことはありますが、ここでいう症状がないというのは明らかな傷などがないということです。
つまり、口腔内灼熱症候群を引き起こす全身疾患は舌痛症の原因となりうるとも言えます。
Daniela Adamoらによる研究(Int J Environ Res Public Health. 2023 Jan 22;20(3):2040. )からは、口腔内灼熱症候群患者と非口腔内灼熱症候群患者を比較して統計学的に明らかに口腔内灼熱症候群患者の方が高血圧を合併していると報告されています。
患者のうち55%が高血圧であるのに対し、非患者のグループでは33.5%しか高血圧患者はいなかったとのことです。
断言はできません。
上記の研究では高血圧患者は加齢、その他の合併症、薬物接種、不安の程度などが明らかに大きいことも示されているためです。
しかし一つ言えることは、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)という高血圧のお薬は口を乾かすものとして有名ですので、高血圧を指摘されている方で口腔内に違和感が現れた方は、何らかの全身的な要因によって症状が引き起こされていると考えても良いかもしれません。
ただし自己判断は禁物です。
かかりつけ医と当院舌痛症外来のような専門外来との連携のもとで診察を受けていただきたいです。
このように高血圧と口腔内灼熱症候群の間には関連がある可能性が指摘されています。
つまり舌痛症との関連があるという可能性もあるということです。
高血圧を指摘された方の中には口腔内に何らかの違和感を覚えている方も少なくないのではないでしょうか?
特に投薬による治療を受け始めてからしばらくして変化が出た方はいらっしゃいませんか?
一般的に口腔内灼熱症候群のように著しく生活の質(QOL)を下げる疾患が現れたとき、お薬の変更を検討します。
しかし困ったことに、本疾患はあまり内科で診られるものではなく、歯科や耳鼻科が治療します。
そのためお薬の変更を依頼したくても、内科医が厳選した処方にあまり口出ししたくないというのが実情です。
そのため当院舌痛症外来では、内科医の処方を補う治療で、口腔内灼熱症候群や舌痛症の治療を行います。ぜひ当院舌痛症外来で一度症状をご相談ください。
医療法人光惠会
舌痛症外来担当医 小林隆洋
舌の痛みやしびれなど、
お気軽にご相談ください。
※2023年11月1日新規開院