今回は口腔乾燥についてご説明します。
口の粘膜は乾燥すると荒れやすくなり、痛みも感じやすくなります。
年齢とともに唾液は減少することが知られていますが、ゆるやかに少しずつ減少するため、唾液が少ない、口が乾いていると自覚されている方はほとんどおられません。
当院を受診された患者様でも、唾液量テストを行ってみて初めて気がついたと言われる方が大半です。
口の中がカラカラに乾くようなことはありませんので特にわかりにくく、歯科医師が見てもすぐにわかるようなケースもほとんどありません。
このような場合、唾液量が増やせれば良いのですが、現在のところ、唾液を増やすとされる薬は特殊な病気以外には使えません。
そのため、保湿するか、乾燥を防ぐかのいずれかが実際の対応となります。
保湿に際しては、保湿ジェルを用いますが、保湿成分を加えたうがい薬を用いることもあります。
ここで注意していただきたいのは、市販のうがい薬(消毒薬)です。
消毒薬の含有物には刺激の強いものがしばしば入っています。
このため粘膜が荒れたり、より乾燥させてしまったりして症状を悪化させることもありますので注意が必要です。
当院を受診された患者様には市販のうがい薬は使わないようにお願いしております。
歯磨き粉も同様の理由で、刺激の強いものは避けるように、使うとしてもごく少量で済ませるようにお願いしています。
余談ですが、消毒液でのうがいは逆にウイルス感染が起こりやすいという調査結果も報告されていますので、感染対策の意味でも注意が必要です。
乾燥を防ぐことについてですが、マスクを着ける以外にも大事なことがあります。
それは、舌を出して鏡で見たり、指などで触ったりしないことです。
口を開けているだけでも口の中の水分はどんどん蒸発して行きます。
まして指などで触ると保護している唾液をこそぎ落とすことにもなり、またデリケートな粘膜そのものを痛めることにもなりかねません。
「お肌にうるおいを」みたいなコマーシャルはよく見かけましたが、私に言わせれば「お肌の前にお口にうるおいを」です。
口の中=粘膜は肌=皮膚よりもデリケートなのですから。
口腔外科専門医
稲田 良樹
舌の痛みやしびれなど、
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※2023年11月1日新規開院