「舌が痛くて歯科医院や内科、耳鼻科、はては病院も受診したけど何も病気はないと言われて…」舌の痛みを訴え、当法人を受診された方の大半が口にされる言葉です。
実際、舌の痛みを訴える患者様の舌そのものに明らかな傷であるとか、できものがあるとか、誰が見ても分かるような異常はまずありません。
というよりもしそんな異常があれば、その段階で診断が始まり、その結果により治療が始められているはずです。
そう、誰もが見てわかるような異常=病気がない、これが舌痛症の特徴です。
やけど、傷などの怪我(外傷)、癌も含めた腫瘍、貧血やウイルスなどを原因とする炎症、こういったものは全て痛みの原因となる病気がはっきりとしており、その原因を除去、改善することが痛みなど症状の改善につながります。しかし舌痛症には、客観的に診断のできる病気はまず見当たりません。
当サイトには「舌が痛む原因は?」というページが設けてあります。
そこには「よくある」7つほどのものを列記しております。
ただし、実際にはこれらの内いくつかが複雑に絡み合い、舌に対して負担をかけ続けた結果が「痛み」を引き起こす、それが「舌痛症」である、と言って良いかと思います。
▲イメージとしてはこのような感じです。
乾燥、むくみ、細菌、ウイルス、食いしばりや歯ぎしりなどの癖、ストレス、栄養不良……それ以外のものが影響していることも十分あり得ますが、この絡んだ毛玉を解きほぐすように一つ一つの原因を改善、除去していくのが舌痛症の治療である、と言えます。
ですから、実際の治療においては「目立つ原因」から改善して行き、症状の変化を見て、さらに改善すべき点を探してそこも改善し、またさらに…という感じの繰り返しになります。
もちろん体質や気候の影響も受けますので、良くなったと思ったら少しぶり返した、なんてことは当たり前のように起こります。
良くなったり悪くなったりしながら、徐々に改善していく病気なのだと理解していただくようすべての患者様に説明しております。
従って、非常に残念ではありますが、瞬時にして痛みがなくなるということはありえません。
どんなに早く治る方でも、数ヶ月はかかるのが現実です。
また、原因の除去にあたっては、いろいろな治療、投薬、生活指導などを行いますが、患者様ご自身が「痛みの原因になりそうなこと」に気がつけば、そこはご自身で改善していただくこともお勧めしております。
次回以降、実際に患者様に指導している中で、主なものを順に説明して行きたいと思います。
歯科口腔外科専門医
稲田 良樹
舌の痛みやしびれなど、
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※2023年11月1日新規開院