これまで書いてきたように、舌痛症は写真の毛玉のようにいろいろな原因がからみ合ってもつれ合って起こります。
ですから、ちょっと薬を飲んだり塗ったりで治るものではありません。
まして口腔乾燥やむくみは体質や加齢によっても生じますので、ドラえもんのタイム風呂敷でもなければ瞬時に改善できるものでもありません。
したがって舌痛症の治療は、少しずつ原因を取り除き、少しずつ原因のからみを解きほぐしながら、少しずつ症状を改善させていく、というものになります。
患者様ご自身でも症状を改善させるために注意していただかなければならないことはいくつもあり、これまでにもいくつか書いてきました。
そこで、今回と次回の記事では、患者様ご自身に注意していただきたいこと、できるだけ避けて欲しいことなどをまとめてみたいと思います。
消毒液や歯磨き粉は粘膜を乾燥させてしまうだけでなく、ミントなどの刺激物による痛み、また粘膜からの感染を逆に誘発してしまうおそれがありますので、うがい薬や歯磨き粉は極力使わないようにお願いしています。使用してもあまり悪影響のないものはこちらから指導、指定させていただきます。
カフェインを取りすぎると水分が体外に排出されてしまうだけではなく、電解質やタンパク質のバランスを崩し、舌のむくみを起こす可能性がありますので、極力摂取を控えていただくようお願いしています。
ただし絶対禁止とは言いません。趣味嗜好を過度に我慢すると、それがストレスとなってしまい逆効果を生むことがありますので、適度な飲用であれば構わないと指導させていただいております。
ストレスのない生活ができればそれに越したことはありませんが、現代社会でそんなことができるはずもありません。
できるだけストレスを抱えないように心がけるか、ストレスの解消法、気晴らしをみつけるぐらいしか対応法はありません。
前半はここまでとし、次回残り半分について述べたいと思います。
口腔外科専門医
稲田 良樹
舌の痛みやしびれなど、
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※2023年11月1日新規開院